「厚労官僚の暴走を許すな」_厚労省が進める職場のメンタルヘルス(心の健康)検診の義務化に対
し、メンタルヘルス対策に取り組んできた現場の産業医らが怒りの声を上げている。
メンタルヘルス検診義務化は昨年末、労働安全衛生法改正案として国会に提出された。企業に対し、
健康診断とは別に検診を義務付ける内容で、「ひどく疲れた」「ゆううつ」など9項目のストレス症状を基に
社員が自己評価する方法が検討されている。厚労省は、うつ病などの「早期発見につながる」としている
が、日本産業衛生学会などは「トンでもない」とカンカンなのだ。
都内の産業医がこういう
「心の病は、職場や家庭環境など複合的な要因が考えられるものです。通常の健康診断とは切り離し、
メンタルヘルス検診だけで判断するのは、医学的に合理的ではありません。それに厚労省が考えてい
るストレスチェックの評価方法は科学的に十分確立されたものではない。検診義務で本来なら治療の
必要がない患者を増やす恐れもあります。
国会に改正法案が提出されている段階で、現場の学会で反発するのは異例だ。それでも突っ走る厚労
省の狙いは何なのか。
「旧労働省の医系技官の天下り確保の一環でしょう。労災で食ってきた連中が、じん肺などが減ってきた
ために仕事がなくなり、メンタルヘルスにシフトしている。メタボ検診でも天下り先が新たな財源で潤いま
したがそれに味をしめてメンタルヘルス検診も義務付けしようとしているのでしょう。メンタルヘルス利権
の規模は数百億円に上るとささやかれています」(事情通)
厚労省が熱心なのは国民の健康を守ることではない。利権と私腹を肥やすことなのだ。
(日刊ゲンダイ2012年5月9日掲載)
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